ラブアン諸島

ラブアン諸島とは、マレーシア東部サバ州南シナ海の沖合に浮かぶ島々です。ちなみに「ラブアン」とは、マレー語で良港・停泊地を意味します。ラブアン諸島の面積は85平方キロメートル。香港とほぼ同じくらいの大きさで、クアラルンプールやシンガポールといった周辺の主要都市からもほぼ等距離に位置しています。市街地は小さく、ほぼ縦横1 Kmの範囲に収まっています。島全体も車で1時間くらいあれば1周でき、大部分が平地で緑にも恵まれています。近郊海域で石油や天然ガスが豊富に産出されますが、石油価格が低下してくると、コストの関係から採掘をストップします。
観光面では、第二次世界大戦や戦前の沈船が数多く沈んでおり、東南アジア有数のレック・ダイビングのスポットとして人気があります。マレーシア独立後はサバ州に属していたものの、1984年にマレーシア連邦の直轄領に、そして1990年には免税港となり、隣国ブルネイなどからの買い物客も多くこの島を訪れています。

世界的な知名度は低い

では次に、ラブアン諸島が持つ、タックスヘイブンとしての歴史を見ていきましょう。そもそもラブアン諸島とは、同じタックスヘイブンである香港と切っても切れない関係にあります。1997年7月に香港が中国に返還されるまで、香港の持つ役割の中核には「規制緩和」と「自由経済」がありました。さらに中継取引拠点である香港には、「入ってきたファンドを外に出す」、という重要な機能もありました。もともと香港は地政学的に交易に有利な場所にあるため、シンガポールなどの貿易拠点と同じくタックスヘイブン政策が形成されやすい状況があったのです。
実はラブアン諸島とは、マレーシア政府が香港返還時期を狙って、香港の機能をラブアンへ移行させるために意図的に作り上げた、言わば「人工形成されたタックスヘイブン地区」なのです。といってもマレーシア政府の計画通りにはいかず、ラブアン諸島は香港やシンガポールと比較すると、世界的な知名度が低い「金融経済特区」となっています。